椿姫(Die Kameliendame, The Lady of Camellias)  第186回目の公演  2006年6月30日


音楽

フレデリック・ショパン 振付・演出 ジョン・ノイマイヤー
舞台美術・衣裳 ユルゲン・ローズ

指揮

アンドレ・プレッセ

ピアノ フォルカー・バンフィールド、
リチャード・ホインス
演奏 ハンブルガー・シンフォニカー


プロローグ
アルマン・デュヴァル イリ・ブベニチェク
デュヴァル氏、アルマンの父 エデュアルド・ベルティーニ
ナニーナ、マルグリットの召使 スザンヌ・メンク
公爵 ヤロスラフ・イヴァネンコ
プリュダンス・デュヴェルノワ ラウラ・カッツァニガ
N
伯爵 ヨハン・ステグリ
ピアニスト リチャード・ホインズ
夫婦 フィリパ・クック、パーシヴァル・パークス
競売人 ウラディミル・コシチュ
彼の助手 マルテ・クレメンス
オークションで働く人々
マルグリット・ゴーティエ へザー・ユルゲンセン

2
マルグリット・ゴーティエ、アルマン・デュヴァル、デュヴァル氏、プリュダンス・デュヴェルノワ、ガストン・リュ−、オランピア、N伯爵、公爵、ナニ−ナ、ピアニスト
別荘の客 ジョージーナ・ブロードハースト、カトリーヌ・デュモン、
       ステラ・カナトゥーリ、アンナ・ラウデール

       アントン・アレクサンドロフ、ティアゴ・ボーディン、
       ピーター・ディングル、アルセン・メグラビアン、
       コンスタンティン・ツェリコフ

マルグリットの使用人
マノンと彼女の崇拝者たち



1
マルグリット・ゴーティエ、ナニ−ナ、アルマン・デュヴァル、プリュダンス・デュヴェルノワ、公爵、N伯爵
バレエ》マノン・レスコー《の登場人物
 マノン・レスコー シルヴィア・アッツォーニ
  デ・グリュ− アレクサンドル・リアブコ
  マノンの崇拝者たち アントン・アレクサンドロフ、服部有吉、
                アルセン・メグラビアン

劇場の観客と舞踏会の客
  オランピア エレーヌ・ブシェー
  ガストン・リュ− カーステン・ユング
  マルグリットの崇拝者たち
  アルチュ−ル シルヴァーノ・バロン
  エドゥアール クサノ・ヨウスケ
  ユージーン オーカン・ダン
   ジョージーナ・ブロードハースト、 カトリーヌ・デュモン、
    ゲイレン・ジョンストン、ステラ・カナトゥーリ
    アンナ・ラウデール

    アントン・アレクサンドロフ、ステファン・ボウゴン、
    アントニン・コメスタッツ、エミル・ファスートディノフ、
    ウラディミル・ハイリアン、エドウィン・レヴァツォフ
 仮面舞踏会の客 
  オデット・ボルヒェルト、クリステル・チェンネレッリ、
  カロリナ・マンクーソ、大石裕香、リサ・トッド、マリアナ・ザナットー

  ジョゼフ・エイトケン、ティアゴ・ボーディン、アルセン・メグラビアン、
  ステファノ・パルミジャーノ、コンスタンティン・ツェリコフ、
  キラン・ウエスト

 ピクニックへ行く社交界の人々 
   カトリーヌ・デュモン、ステラ・カナトゥリ、アンナ・ラウデール
   マリアナ・ザナットー
   ティアゴ・ボーディン、ピーター・ディングルアルセン・メグラビアン、
   コンスタンティン・ツェリコフ


3
マルグリット・ゴーティエ、アルマン・デュヴァル、プリュダンス・デュヴェルノワ、ガストン・リュ−、オランピア、公爵、N伯爵、ナニ−ナ
シャンゼリゼ通りを散歩する人々
 オデット・ボルヒェルト、カトリーヌ・デュモン、アンナ・Rabsztyn、
 リサ・トッド、マリアナ・ザナットー
 アントン・アレクサンドロフ、アントニン・コメスタッツ、
 エミル・ファスートディノフ、
アルセン・メグラビアン、エドウィン・レヴァツォフ
舞踏会の客
 オデット・ボーヒェルト、フィリパ・クック、ステラ・カナトゥーリ、
 イリーナ・クロウグリコヴァ、
アンナ・ラウデール、カロリナ・マンクーソ、
 ステファニー・ミンラー、アンナ・Rabsztyn、リサ・トッド、ミリアナVracaric、
 マリナナ・ザノット、ディナ・ツァリポヴァ

 ジョゼフ・エイトケン、シルヴァーノ・バロン、ステファン・ボウゴン、
 アントニン・コメスタッツ、オーカン・ダン、ウラディミル・ハイリアン、
 クサノ・ヨウスケ、ヴィクター・マテオス・アリャーノ、
ステファノ・パルミジャーノ、
 エドウィン・レヴァツォフ、コンスタンティン・ツェリコフ
マノンと彼女の崇拝者、デ・グリュ−












数人の方に感想をお願いいたしました。
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まずはmoeさんです。moeさん、ありがとうございます。

イリ・ブベニチェクがハンブルク・ダンサーとして踊る最後の「椿姫」。期待にたがわず素晴らしく感動的な舞台でした。

へザー・ユルゲンセンと、イリはどちらも際立つ存在感で、主役に相応しい素敵なペアでした。
マルグリットとアルマンの心情を丁寧に、情感豊かに表現しながらも、複雑なリフト連続の高度なパ・ド・ドゥでは、強靭なテクニックと見事なパートナーシップで、少しのためらいもなく時には大胆に踊りきって観客を圧倒し、極めて見応えのある舞台を創りだしていたと思います。

3幕目のパ・ド・ドウはドラマティックでいつ見ても感動なのですが、今回はしっとりとした2幕目のパ・ド・ドゥにも魅せられました。難しい振り付けもかかわらず、全く破綻をきたさず、ショパンの甘美な旋律にのって流れるように踊り、ただ幸せの絶頂にいる二人の喜びが舞台から溢れるように伝わってきて暫し陶然。舞台一杯に自在に踊る彼らを、出来る事ならいつまでも見続けていたい気分でした。


神々しいまでに美しかったへザーはマルグリット役を完璧に自分の物にしていていて、マルグリットそのものでした。誰もがマルグリットに感情移入せずにはいられなかったと思います。

アルマンがマルグリットの手紙を読んで激情に駆られて踊るソロの部分では、イリのダイナミックでシャープな踊りを存分に味わう事ができました。又、最後のシーン、マルグリットの日記を読みながら慟哭するイリは、救いようのない哀しみに溢れていて、胸に迫る物がありました。繊細さと男性的な力強さの双方を表現できるイリが、今シーズン限りなのは残念でなりません。

メインキャストだけでなく、その他のダンサー達も各々の役を明確に演じていて、威厳と品格を備えたデヴァル氏役のベルティーニ、マルグリットを慈しむナニーナのメンクは、まさしく適役で登場しているだけで舞台を引き締めていました。
小悪魔のようにコケティッシュなオリンピア役のブシェ、N伯爵をいじらしく演じたステグリも印象に残っています。中でもマノンとデ・グリュー役のシルヴィアとサーシャには、この役の重要性を改めて認識させられました。二人の抜群のテクニックについては言うまでもありませんが、劇中劇のダンサーとして登場する時と、マルグリット達の幻想の中に登場する時の細やかな演じわけも説得力があり、舞台に一層の厚みを加えていたと思います。沼地のパ・ド・ドゥは、感涙もので、是非二人の全幕を見てみたいものです。


振り付け、音楽、衣装も含めた舞台美術、そして振り付け家の意図したものを体現できる才能を持ったダンサー達のコラボレーションによって、名作の醍醐味をたっぷりと味わうことの出来たとても幸せなひと時でした。


満場のスタンディング・オべーションに応えるイリの爽やかな笑顔が目に焼きついています。

(2006年7月22日 
moe)
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次に maddie さんです。 いつもありがとうございます。

今シーズン限りで退団してしまうイリの最後のアルマンをしっかりと記憶に残さなくてはと、かなり気合を入れて鑑賞しました。もともと大好きなバレエですし

ヘザーのマルグリットがまた見られるとあって、出かける前からかなり盛り上がっていました。イリのアルマンは、情熱が内向していくタイプのように思えました。とてもナイーブで繊細なアルマン。舞台に走りこんでくる瞬間から深い悲しみが客席に伝わってきました。内側から静かににじみ出てくるような感情表現は、劇場で見てこそ強く感じられるものなのではないかと思いました。

ヘザーのマルグリットは…もう最高でした! アルマンをからかうように作る品、本気で恋に落ちる瞬間の表情、3幕の舞踏会でアルマンと再開したときの今にも崩れ落ちそうになる気持ちを必死にこらえているシーン、アルマンから手渡された封筒に一瞬見せるときめきとそれに続く深い絶望。演じていたのではなくて、舞台の上で「マルグリットを生きていた」のだと思います。見終わった後もしばらく心の興奮を抑えることが出来ませんでした。2人の「椿姫」をもう見ることが出来ないのは残念でたまりません。

サーシャのデ・グリューはとても良かったです。マノンに恋をして心がときめいて…というマイムのときの表情のなんと生き生きとして可愛らしかった(?)こと!ハンブルク入りの前にPOBでも「椿姫」を見たのですが、そのときにデ・グリューを踊ったジョゼ・マルティネスもノーブルで素晴らしくとても好きでしたが、サーシャのデ・グリューを見てしまうと…。

オリンピア役のエレーヌはやはりとても美しかったのですが、この役を踊るには少し風格があって大人っぽ過ぎるような気がしました。エレーヌのマルグリットが近い将来実現するといいのですけれど。
(2007年2月12日 maddie)
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